GLP物流EXPO潜入レポート | カスタマーサクセス戦略に力をいれる物流施設デベロッパー

  • 2023年8月6日

トラロジは2022年10月、物流不動産マーケットでトップランナーである日本GLPが主催する「GLP物流EXPO」にお邪魔してきました。日本GLPは、物流不動産デベロッパーとして業界の発展に長く貢献しており、近年も「ALFALINK(アルファリンク)」という、大型で高機能でありつつ、地域 にも開かれた物流施設という新しいコンセプトも兼ね備えたフラッグシップブランドを展開するなど、質と量の両面でマーケットをけん引する存在です。

GLP物流EXPOは、物流関連のソリューションの展示会と、GLP厚木Ⅱの内覧会を兼ねた日本GLP独自のイベントです。今回はこのイベントの様子を、主催者への取材と参加者へのインタビューを交えてご紹介します。

GLP物流EXPOの概要

GLP物流EXPOでは、今後の物流業界にとって特に大きな課題となる「2024年問題対策」「自動化・DX化」「環境対策」などをテーマに、その解決に役立つソリューションが展示されていました。GLPグループの+Automation、モノフルに加えて、日本GLPのパートナー企業6社で、合計8社が出展し、物流ロボットをはじめとする様々なソリューションを間近で体感できるイベントとなっておりました。国際総合物流展のGLP版という感じですが、1社ごとの展示スペースに余裕があり、営業担当者も十分にいらしたので、物流展よりもリッチなデモンストレーションをじっくりと見ることができました。

3日間で98社、212名が参加されて、満足度アンケートでは5点満点で平均4.3と大変好評だったそうです。今後もまた開催してほしい、もっと沢山の展示が見たい、といった期待の声も多く寄せられていました。

物流施設の提供にとどまらない、日本GLPが提供する価値とは

まず、日本GLPがこのようなイベントを展開された背景、価値観からご紹介いたします。

カスタマーサクセス戦略とGLPコンシェルジュの誕生

日本GLPは、入居後もお客様の事業の発展にコミットし続けたいという想いから、環境配慮、BCP性能など、スペックの優れた施設(ハード)を提供するとともに、物流周りの課題の解決を支援するソフトも提供してきました。

このカスタマーサクセス戦略は2015年ごろから本格展開されており、今回のイベントに参加されていた「マテバンク」との取り組みも同年にスタートしています(プレスリリース)。その後も付加価値サービスを次々と拡充し、現在は「GLPコンシェルジュ」と銘打って展開し、日本GLPの大きな差別化要因の1つになっています。GLPコンシェルジュは利用頻度、満足度ともに高く、入居カスタマーから高い評価を得ているそうです。

GLPコンシェルジュとは…

物流に携わるあらゆる企業(GLP物件に入居前でも利用可)が抱える様々な困りごとを解決してくれるサービス。サービス範囲はかなり広く、様々なサービスがラインナップされている。物流施設というハードの提供だけでなく、オペレーションも含めて総合的に物流会社を応援したいという思いから無料サービスとして展開している。

内覧会でのプレゼン資料を転載し、GLPコンシェルジュの概略とサービスラインナップのご紹介します。

GLPコンシェルジュ

GLPコンシェルジュ 荷主・転貸先のご紹介

GLPコンシェルジュのその他のソリューション出展:日本GLP内覧会資料

忙しいお客様のために良質な情報を提供したいという想いから今回のイベントを企画

「物流クライシス」が叫ばれるなか、物流業界に携わる方々は総じて忙しく過ごされています。一方、物流DXを推し進めて物流業務の再構築に取り組んでいくためには情報収集が欠かせません。

日本GLPご担当者に今回のイベントを企画した背景を伺いました。

9月に国際物流総合展が開催されましたが複数のお客様から「忙しくて観に行けなかった(行きたかった)」という声を聞き、忙しいお客様になんとか効率的に良質な情報を届けることは出来ないかと考えて企画した

このイベント開催もカスタマーサクセスの一環なのです。

物流EXPOの会場「GLP厚木Ⅱ」の概要

開催場所となったGLP厚木Ⅱの概要をご紹介いたします。

立地

イベントが開催された「GLP厚木Ⅱ」は圏央道を通じて、東名、中央道それぞれへのアクセスがよく、海老名駅、本厚木駅からバスが運行しているため人材確保にも優位な立地で、周辺に大型の物流施設が林立するエリアです。

物件概要

GLP厚木Ⅱは2016年6月に竣工した、地上6階、免震構造の物件です。エントランスやエレベーターホール、カフェテリアなどの共用エリアには、随所にとられた広い窓から緑・山々・空が見え、居心地のいい空間が広がります。いわゆる今どきのマルチテナント大型物流施設となっています。

今回の内覧会の対象となる募集エリアは5階、6階。共用のカフェテリアが6階にありますので、この物件の中でも利便性の高い区画です。

GLP厚木Ⅱ エレベーターホール 広い窓から内庭の緑が目に気持ちいいエレベーターホール

GLP厚木Ⅱカフェテリア

レンガ調の壁とダウンライトで落ち着いた雰囲気。内覧会では「ブルックリン調」と表現されていました

物件の敷地面積は約3.8万㎡(1.2万坪)、延べ面積は約8.9万㎡(2.7万坪)で、物件の主要スペックは下記の通りです。

  • プラットフォーム:1・3・4・5階 高床式1.0m
  • トラック待機場:20台
  • 乗用車駐車場342台、駐輪場あり

6年半前に建てられたという、このGLP厚木ⅡにもしっかりとEV充電スポットもありました。筆者もEV乗りなので嬉しいです。職場や取引先に充電スポットがあればEVで気軽に立ち寄れます。

GLP厚木Ⅱ EV充電スポット

駐車場には2台同時充電できるEV充電スポットがあり施設利用者は無料で使えるそうです。インタビューさせていただいたSBSロジコム様も日産の電気自動車リーフで来場されていました。

特徴

内覧会でのプレゼン内容に基づいて、物件の特徴を簡単にご紹介します。

保管効率

5階は有効天井高6.0m、6階は最大6.75mのかまぼこ型天井です。6.75mもあれば荷姿1.5mの荷物で、クリアランスを含めても4段分保管できます。

GLP厚木Ⅱ倉庫内 最上階のため無柱空間が広いです

GLP厚木Ⅱトラックバーストラックバース

GLP厚木Ⅱ車道車道側、空と山が広がっています

BCP

建物は地震に最も強い構造の免震工法で作られています。非常用発電機と井水設備を備えており、万が一の災害時でも72時間は独立して通常運用できるそうです。こんなに巨大な施設が丸ごとオフグリッドで動くなんて凄い!

また厚木は洪水浸水リスクが限りなく低く、地盤が固く揺れにくく、そもそも災害リスクが少ない土地です。BCP対策を重視する企業にはぴったりの物件といえます。

GLP物流EXPOの開催概要

EXPOの内容について、出展者ごとに写真と動画でご紹介いたします。

GLP物流EXPOの様子当日はたくさんの人で賑わい、大盛況でした

+Automation:仕分けロボット「t-Sort」

荷物の仕分けを自動化できる、次世代型ロボットソーターです。従来方式のソーターと比較して、必要な面積は1/2〜1/3と省スペースで導入ができるそうです。10台程度の小規模導入も可能で業務量に応じてロボットの台数を増減させることで季節波動にも対応ができるのが特徴です。

当日はすべてのラインアップ(t-Sort sd5, t-Sort cb15, t-Sort cb30)が展示され、せかせかと動いていました。

ラピュタロボティクス:ラピュタPA-AMR

作業者と協調しながら活躍するピッキング支援ロボット(AMR)を展示しておりました。ラピュタロボティクスにはトラロジが詳しく独自取材をしており、近いうちに記事を公開予定です。ご興味のある方はトラロジTwitterアカウントをフォローしてくださると嬉しいです。つぶやきます。

GLP物流EXPO rapyuta roboticsブース実機デモを交えてじっくりと説明を聞く参加者

upr:RFIDタグ、パレットファインダー

RFID DXタグの特徴出典元:upr

RFIDタグ「DXタグ」と、画像認識技術によりパレット数をカウントできる「パレットファインダー」を出展されていました。

DXタグの電池寿命は最長10年間という長寿命で、1台のリーダーで半径300mをカバーできるそうです。RFIDタグの内部にセンサーを備えており、荷物が動いているのか/静止しているのかを認識し、位置情報の発信頻度を最小限にすることで長寿命化を実現しているそうです。すごい。

フィジカルインターネット(※)の実現に欠かせない「通い箱」への搭載を見据えてより小型のRFIDタグ商品も展示しておりました。

※フィジカルインターネットについてのトラロジ記事もぜひご覧ください「物流関係者必読! 「フィジカルインターネット・ロードマップ」の要点まとめ

Ranpak:紙緩衝材の自動供給機(脱プラ、省人化)

Ranpak出典元:ranpak

100%持続可能な紙による緩衝材システムを提供する企業です。脱プラスチック梱包材として、環境意識の高い企業での利用が増えてきているそうです。紙は形成が容易なので、工夫しだいで梱包材の使用量を大きく減らすことができるため、コスト削減も同時に実現できる場合があるそうです。

Ranpak 緩衝剤の使用量を最小限に抑える使い方緩衝剤の使用量を最小限に抑える使い方。なるほど。

日研トータルソーシング(専門職の人材活用サポート)

日研トータルソーシングブース

日研トータルソーシングはマテハンや物流ロボットのメンテナンスなどができる技術人材に特化した派遣サービスを提供する会社です。自社で正社員雇用し、技術研修を行った後に正社員派遣としてメーカーなどの現地に配属する形をとっています。

マテハン機器のメンテナンスは、その機器を導入したメーカーに依頼するのが一般的ですが、料金が高かったり、不具合が発生した際の初動対応に時間がかかったりと、課題も少なくないと聞きます。今後はマテハンも物流ロボットもより普及し、複数のメーカーを組み合わせることも多くなるでしょうから、メンテナンスの専門家に一括して依頼できるとよりコスト削減のチャンスが大きくなってくるのではないかと感じました。

マテバンク(中古物流機器のリユース・レンタル)

知ってもらいたいマテバンクの特徴

中古物流機器のマテバンクの取扱機器出展:マテバンク

マテバンクは不要になったマテハンを捨てずに次の利用者に回す、中古物流機器のリユースサービスを提供しています。リユースはそのままの形で次のユーザーに使ってもらうので環境への負荷は輸送部分だけになり、直接的に地球環境に貢献できる手段です。

マテバンクの担当者は「まだまだリユースできることを知らずに捨ててしまっているユーザーが多い。中古物流機器サービスは買取・販売ともにお客様のコスト削減につながることは間違いなく、SDGsの達成や企業の脱炭素経営にも貢献できる」と語っておられました。

参加者インタビュー

当日のイベントに参加されていたSBSロジコム様(以降、SBSロジコムと記載させていただきます)のお二方にインタビューにご協力いただきました。SBSロジコムは物流アウトソーシング、通販物流、3PL、倉庫アウトソーシング、物流コスト削減などの総合物流サービスを提供する会社でGLP物件にも実際に入居されています。

営業企画部 部長兼倉庫管理室長 和田さん(写真左)
営業企画部 倉庫管理室 係長 伊藤さん(写真右)

トラロジ
今回はインタビューの機会をいただきましてありがとうございます。早速色々とお話を伺っていきたいと思います。SBSロジコムのサイトを拝見させていただいたところ「ワイン物流」が目に留まりました。温度管理などに加えて通関手続きもあり難易度の高い業務ですよね。御社はどのような荷主さんに対してサービス提供しているのでしょうか?

SBSロジコム
当社が所属するSBSグループ全体でいうと多岐にわたる荷主さんがいます。鉄骨を扱う荷主さんからドラッグストア、ホームセンター、スーパーマーケットまで、かなりの数の荷主さんにサービスを提供しています。
トラロジ
今回の内覧会/GLP物流EXPOに参加された動機を教えて下さい。
SBSロジコム
コロナによる行動制限が緩和されてから物流施設の内覧会が各社で再開されています。この変化の中で最新のマーケット情報をしっかりと確認しておきたかったのが理由の一つです。また、EXPOには様々なソリューションが展示されているので、もともとは関心を持っていなかったものでも実は自分たちにとって有用であったり、面白いと気づかせてくれるいい機会だと考えました。実際に刺激を受けました。
トラロジ
AGVに興味を持って見ていらっしゃいましたね。
AGVを見学するSBSロジコムさんAGVは走行ルート上に磁気テープなどのガイドのための目印が必要なタイプの物流ロボット
SBSロジコム
当社でもAGVを導入しており、どういうところが駄目になるのか、どの部品の強度が弱いかなどが気になってしまって。物流ロボットは新品で導入してそれで終わりというわけではありません。長年使えばメンテナンスコストも膨れ上がってきます。
トラロジ
物流ロボットのメンテナンスといえば、マテハン機器や物流ロボットのメンテナンスに特化した人材活用サービスを提供する日研トータルソーシングさんも出展されていましたね。
同社によると物流ロボットやマテハン機器を自社メンテナンスしている事業者もあるそうです。物流ロボットのメンテナンスは導入したメーカーに任せるしか選択肢が無いと考えていたので意外でした。御社で導入されているAGVのメンテナンスはどうされていますか?
SBSロジコム
メーカーに依頼しています。物流ロボットの稼働率をあげようとすると、その場でメンテナンスできる体制を持っておくことの価値は高くなります。今後は自社でメンテナンスできる体制を持つこともあるかもしれませんが、責任の問題もあります。コスト、効率、責任のバランスで判断することになります。
トラロジ
日本GLPの物件をご利用されているとのことでしたが、実際にGLP物件をご利用になられてみて、どのように感じられていますか。施設などのハード面とGLPコンシェルジュサービスなどのソフト面とで、それぞれ伺いたいです。
SBSロジコム
まずハード面については、今回の内覧会でGLP厚木Ⅱを見ても、倉庫スペックは細部までよく考えられて作られているなと感心します。
トラロジ
カフェテリアも景色がよく、ライティングも落ち着いていて、心地いいスペースでした。やはり共用部が快適だと採用へのプラス効果があるのでしょうか?
SBSロジコム
人材募集の面では、かなり有利になりますね。
トラロジ
GLPは入居後もお客様の事業の発展にコミットしたいという想いから、GLPコンシェルジュサービスを無料提供していますよね(※)。ご利用されたことはございますか?
※GLPの担当者にサービス範囲を伺ったところ入居後どころか入居前から提供しているそうです、太っ腹!
SBSロジコム
まだ利用したことはありません。私たちは何か新しいソリューションを探して検討する際も、余計なコストになりかねないため仲介サービスは使いませんでした。自分たちで手間をかけて最適なソリューションを探し、徐々に対応能力を高めてきました。
でも日本GLPのコンシェルジュサービスは、ソリューションや業者とのマッチングを無料で行ってくれるのですね。私たちがかけてきたような労力が省けますから、スタートアップ企業やこれから自社物流を開始するような企業はかなり助かるでしょうね。
私たちも繁忙期の対応でその時だけ発生するイレギュラー業務があるので、機会があれば活用してみようと思います。
トラロジ
本日の展示会でロボット関連は特に人を集めていましたね。物流ロボットに対するスタンス・取組状況を教えてもらえますか。
SBSロジコム
労働者の負荷を減らす必要性は感じていますが費用対効果の問題だと考えています。リスク管理も含めた広い意味での費用対効果です。多くの物流ロボットはバッテリーを積んでいます。何らかの事故で衝撃が加われば発火します。もし倉庫火災が起きてしまったら桁違いのコストがかかります。
トラロジ
SBSロジコムさんはリスク管理のレベルが高いですね。やはりBCP対策に優れた物件には価値がありますか?
SBSロジコム
ひとつの基準になります。耐震よりも免震がいいのはもちろんですし、火災対策も必須です。倉庫の外に燃え広がらないような外壁設計になっているかどうかも重要です。GLP厚木Ⅱは駐車場が広いのがいいですね。隣地に燃え広がらないための火除地帯になります。
GLP厚木Ⅱ広い駐車スペースGLP厚木Ⅱは建ぺい率が45%で広い駐車場が特徴的な物件。広くて写真に収まりきれない。
トラロジ
GLP厚木Ⅱはリスク管理を重要視するSBSロジコムさんも納得の物件のようです。本日はお忙しい中お時間をいただき、ありがとうございました。

日本GLPおよびGLP物流EXPOについて、トラロジの所感

日本GLPは大型の物流施設を約170物件、延床面積約1,100万平米を提供する物流不動産のトップランナー。早くから環境貢献に積極的で、物件には太陽光発電、LED照明、人感センサー、耐熱パネルなど環境に配慮した設備が多く取り入れられ、環境認証取得物件は延床面積ベースで84%と国内の物流不動産デベロッパーの中でもトップクラスだそうです。コーポレートサイトにはESGポリシーを公開し、ESGレポートも発行しています(2021GLP Japan ESG Report)。

今回の取材で改めて認識したのは、日本GLPは単に物流施設を提供するだけの企業にとどまらないということです。入居カスタマーのための「GLPコンシェルジュ」があり、物流関連テクノロジーにも強い。また2021年からは「ALFALINK」を展開しています。

ALFALINKは「創造連鎖する物流プラットフォーム」というコンセプトの物流施設で、これまでの高機能・環境配慮型の物流施設に加えて、施設内に託児所や地域住民が自由に利用できる運動場などの共用部が広く設けられています。より働きやすい環境で、地域との共生も実現しているようです。

トラロジは後日、「ALFALINK」についても取材させていただこうと考えておりますので、楽しみにお待ち下さい。

  • 物流ロボット
  • 物流施設
GLP物流EXPOの様子
トラロジの最新情報をチェックしよう!