ラピュタロボティクス、花王関東物流拠点に重量検品機能付きAMR「ラピュタPA-AMR」65台を導入予定

  • 2025年8月1日

物流向けロボティクスソリューションを提供するラピュタロボティクス株式会社は、花王株式会社の関東物流拠点に、重量検品機能付き協働型ピッキングアシストロボット「ラピュタPA-AMR」を今冬、過去最多となる65台導入予定であることを発表しました。この導入により、物流業務のさらなる効率化と持続可能な運用体制の構築が期待されています。

ピッキングアシストロボット「ラピュタPA-AMR重量検品モデル」
出所:ラピュタロボティクス株式会社

今回の導入における重要なポイント

花王の関東物流拠点への「ラピュタPA-AMR」導入では、重量検品機能に加えて以下の特徴がポイントです。

過去最多65台による大規模協働システム

今回の導入では、ラピュタロボティクスとして1拠点で過去最多となる65台のラピュタPA-AMRが稼働します。ラピュタロボティクスのロボット群制御技術を駆使し、65台のロボットが現場で人と協働して高効率なピッキング作業を実現します。

この大規模なロボット群制御により、物流拠点全体でのピッキング効率の最大化が期待されています。

事業継続性の支援

導入の大きな目的として、労働力不足の解消や安定したオペレーションの確立があります。これにより、持続可能な物流体制の構築を後押しし、将来的な物量増加への対応も可能になります。

特に花王では、小売店への直接配送などの独自の取り組みを進めており、既存物流拠点におけるさらなる生産性向上が課題となっていました。

自動充電ステーションによる効率的運用

自動充電ステーションの導入により、充電の手間を省き、複数台のラピュタPA-AMRを効率的に稼働させることが可能になります。これにより、終日稼働できる体制を構築し、常時複数台を稼働状態に保てるようになります。

現場を止めない柔軟な導入

ラピュタPA-AMRは、稼働中の業務を止めることなく導入が可能であり、現場のニーズに応じた柔軟な自動化ソリューションとして高く評価されています。この特徴により、既存の物流オペレーションに大きな影響を与えることなく、段階的な自動化を実現できます。

AMRピッキングの効果について、ラピュタロボティクスの検証データでは、従来のカートピッキングと比較して作業時間を約37%短縮(17分35秒→10分59秒)、歩行数を約56%削減(621歩→276歩)することが実証されています。

重量検品機能による効率化

今回導入される「ラピュタPA-AMR」の最大の特徴は、重量検品機能の搭載です。従来のピッキングアシストロボットも最短経路でロケーションの目の前まで移動し、画面に商品の写真や数量を表示してピッキング指示を出すことで、ミスの起きにくい作業環境を提供していましたが、そこにさらに重量検品が加わって、より正確な業務支援が可能になりました。

重量検品機能の搭載により、ピッキング作業において歩行距離を削減し生産性を向上させるとともに、出荷前の検品工程にも対応できるようになりました。これにより、庫内業務全体の生産性向上と誤ピッキング防止などの運用改善に貢献します。

重量検品機能のメリットを考察 (例)同一商品を複数ピッキングする場合

重量検品機能について、トラロジでは同一商品の複数ピッキングをする際の検品作業において、どのような効率化が期待できるかを分析しました。

従来の同一商品の複数ピッキング検品の課題

物流現場での複数点数ピッキングでは、一般的に以下の2つの検品方法が採用されています:

1. 商品ごとの個別スキャン方式

  • 同一商品を複数個ピッキングする場合、商品点数分のスキャンが必要
  • 例:同一商品を5個ピッキングする場合、5回のスキャン作業

2. 1回スキャン+数量入力方式

  • 商品を1回スキャンし、ピッキング数量を手動入力
  • 作業者が目視で数量を確認し、端末に入力

どちらの方式も、以下のようなピッキング数誤りのリスクを抱えています:

  • 数量カウントミス:作業者の目視確認による人的エラー
  • スキャン漏れ:複数回スキャンが必要な場合の作業抜け
  • 入力ミス:数量入力時の誤操作
  • 確認作業の負荷:ピッキング完了後の再確認作業

重量検品機能による改善効果

重量検品機能により、ピッキング後の検品プロセスが以下のように改善されると考えられます:

従来方式の例(同一商品10個をピッキングする場合):

  • 個別スキャン方式:10回のスキャン作業
  • 1回スキャン方式:1回スキャン+手で数量入力+目視確認

重量検品方式

  • ピッキング完了後、1回の重量測定で自動検品完了
  • システムが事前登録された商品重量データと照合し、数量を自動判定

この方式により、作業者の負担軽減ヒューマンエラーの防止を同時に実現できると考えられます。

複数商品が混ざる現場でも機能する重量検品

なお、上記では説明のしやすさから一つの商品を複数ピッキングする場合を説明しましたが、重量検品機能は、同一商品を複数ピッキングするケースだけでなく、異なる種類の商品が混在する1オーダーに対しても機能します。たとえば、複数の商品を同時にピッキングする場合でも、それぞれの商品の重量合計を照合することで、全体として正しくピッキングされているかを自動で検証できます。

花王の物流体制では、小売店への直接配送の取り組みが進められており、1オーダーに複数商品が混在する構成が一般的と見られます。こうした環境においても、重量検品機能は十分に対応可能であり、出荷精度の確保に大きく寄与すると考えられます。

関連リンク

製品情報・一次情報

トラロジ関連記事

※トラロジでは、読者の皆様が最新物流技術を深く理解できるよう、信頼性の高い公式情報源へのリンクを厳選して掲載しています。各リンク先ではシステムの技術仕様や導入事例を詳細に確認いただけます。

  • 業界ニュース
ピッキングアシストロボット「ラピュタPA-AMR重量検品モデル」
トラロジの最新情報をチェックしよう!