パナソニック コネクト/ロボット導入期間を最大50%削減する「ロボット現場導入サービス」を提供開始

  • 2025年7月13日

パナソニック コネクト株式会社は2025年6月30日、物流・製造現場の自動化を促進する「ロボット現場導入サービス」の提供開始を発表しました。同時に、「ロボット制御プラットフォーム」のエコシステム拡大に向け、ロボットSIer・機器メーカー計12社との業務提携も発表。これにより、企画から現場導入までの期間を最大50%削減し、日本で進まないロボット導入の課題解決を目指します。

サービス概要:2つの核となるソリューション

今回発表されたサービスは、以下の2つの要素で構成されています。

1. ロボット制御プラットフォーム(2025年10月提供予定)

FanucとラピュタASRSを組み合わせたピッキング作業の自動化
出所:パナソニックコネクト
FANUCのアームとラピュタASRSを組み合わせたピッキング作業の自動化

様々なメーカーのロボットや機器を同じインターフェースで制御できる革新的なプラットフォームです。
主な特長は:

  • 統一操作環境:異なるメーカーのロボットを単一UIで制御
  • 直感的プログラミング:ブロックの組み合わせでロボット動作を作成
  • テンプレート機能:主要動作が組み込まれ、新用途への展開が容易
  • 現場主導の設定:専門的なSIerに頼らず、現場作業者自身で設定可能

2. システム連携サービス

Blue Yonder等の上位システムと上述の「ロボット制御プラットフォーム」、そして各種ロボット(パナソニック コネクトの提携先が提供)を有機的に連携させるサービスです。これにより、より付加価値の高いソリューション提供を実現します。

12社のパートナーエコシステムで実現する業界変革

出所:パナソニックコネクト株式会社

パナソニック コネクトは、オープンなプラットフォーム戦略により、物流分野のみならず各種製造工程の自動化・効率化への貢献を目指しています。

ロボティクス連携パートナー一覧(2025年6月30日現在)

企業名 役割
ラピュタロボティクス株式会社 倉庫における共同ソリューション開発(戦略パートナー)
株式会社SmartOne 本PF・協働ロボット等のシステムインテグレーション
株式会社T-ROBO 本PF・協働ロボット等のシステムインテグレーション
オリックス・レンテック株式会社 本PFと連携する機器のレンタル・リース
TechShare株式会社 Dobot Robotics 代理店
ミカサ商事株式会社 ELITEROBOTS 代理店
AUBOロボティクス株式会社 本PFと接続動作確認済みの協働ロボットメーカー
Dobot Japan株式会社 本PFと接続動作確認済みの協働ロボットメーカー
Elite Robot Japan株式会社 本PFと接続動作確認済みの協働ロボットメーカー
ファナック株式会社 本PFと接続動作確認済みの協働ロボットメーカー
FAIR Innovation (Suzhou) Robot Systems Co., Ltd. 本PFと接続動作確認済みの協働ロボットメーカー
Universal Robots A/S 本PFと接続動作確認済みの協働ロボットメーカー

Blue Yonderとの戦略的連携で実現する高度化

パナソニック コネクトの100%子会社であるBlue Yonderとの連携により、AI/機械学習を活用した倉庫業務効率の最大化が可能になります。

Blue Yonderが新たに提供する「Cognitive Solutions for Execution: Warehouse」は、クラウドネイティブアーキテクチャを採用し、以下の機能を提供します。

  • AI/機械学習による倉庫レイアウトの最適化
  • AI技術とリアルタイムデータによる労働力効率化(需要予測と連動したシフト自動編成、リアルタイム作業割当、KPIフィードバックループ)
  • 小売補充の合理化(SKUごとの需要シグナル統合、ケースピッキング連動)
  • 受注から配送までの業務プロセス全体のフルフィルメント加速(オーダー・ルーティング最適化、倉庫内オーケストレーション、ラストマイル同期)

ラピュタASRSやその他ロボットとの共同開発ソリューション

具体的な成果として、これまで人が行っていたラピュタASRSのピッキング作業をロボットに代替できる共同ソリューションが2025年10月に提供開始予定です。
※ラピュタASRSは、ボルトレス構造でブロック感覚で柔軟に組み立て・拡張ができるラックと超薄型のAMRを組み合わせたモジュール式の自動保管・搬送システム

この共同ソリューションは、「ロボット制御プラットフォーム」と「自在型自動倉庫 ラピュタASRS」、「システム連携サービス」の3システムを連携させたもので、さらなる自動化・効率化を実現します。次の動画で、ラピュタASRSからのピッキングを人とアームロボットが分担して行っている様子が紹介されています。

2:00辺りから人がピッキングする様子が、そして3:15あたりから2種類のピッキングロボット(荷物を吸着するタイプと把持するタイプ)がピッキングする様子が紹介されています。さらに、ピッキングを終えたら(5:00辺り)、ケースに入れた荷物を搬送ロボットに載せて、搬送先では(5:20)パレタイズロボットがケースをパレタイズしています。
自動倉庫、ピッキングロボット、搬送ロボット、パレタイズロボットが連携する様子の紹介

「マルチベンダー対応」の革新性(トラロジ視点)

パナソニック コネクトの「システム連携サービス」は、複数メーカーのロボットを統合制御するWES(倉庫運用管理システム)の実例であり、下記の記事で解説されている「異なるメーカーの自動化機器を一元管理する」重要性を具現化した最新ソリューションです。

トラロジ|物流領域におけるTransformationに特化したメディア

倉庫自動化において不可欠な役割を担うWES(倉庫運用管理システム)について徹底解説。機能、導入メリット、主要なソリューシ…

従来のロボット導入が抱える「サイロ化」問題

物流現場のロボット導入において、これまで最大の障壁となっていたのは「ベンダーロックイン」と「システムサイロ化」の問題でした。

従来の課題
  • 専用操作システム:各メーカーが独自のインターフェースを提供し、現場作業者は複数の操作方法を習得する必要
  • 拡張時の制約:新たなロボットを追加する際、既存システムとの互換性がなく、全面的な見直しが必要
  • SIer依存:設定変更や機能追加のたびに専門業者への依頼が必要で、運用コストが膨らむ
  • ROI算出の困難:異なるシステムからのデータ統合が困難で、全体最適化の効果測定ができない

パナソニックが実現する「統合制御革命」

今回発表された「ロボット制御プラットフォーム」は、この根本的な課題を解決する統合制御基盤です。

技術的な革新ポイント

1. API標準化によるマルチベンダー接続
各ロボットメーカーの制御プロトコルを共通APIで抽象化し、単一インターフェースから制御可能

2. ビジュアルプログラミング環境
ブロックの組み合わせで動作を定義できるため、プログラミング知識がない現場作業者でも直感的に操作

3. テンプレート駆動開発
ピッキング、搬送、検品などの基本動作があらかじめ組み込まれ、新しい用途への展開が数分で完了

4. リアルタイム協調制御
複数メーカーのロボットが同一空間で協調動作し、衝突回避や作業分担を自動調整

物流現場への具体的インパクト

中小物流事業者のロボット導入障壁の軽減

従来は大手企業のみが導入可能だった高度な自動化システムが段階的に導入可能になる期待があります。例えば下記のようなことが可能になると期待されます。

  • 初期はピッキングアシストAMRから開始
  • 需要増に応じて自動仕分けロボットを追加
  • 最終的には無人化倉庫へと段階的に進化
連携オペレーションの構築が容易に

従来はメーカーごとに異なる操作やシステムを個別に調整する必要があり、複数ロボットを組み合わせた現場運用の設計や変更には多大な手間がかかっていました。今回のプラットフォームでは、単一のインターフェースを通じて複数メーカーのロボットを一元的に制御できるため、現場ごとの運用設計やシステム連携が格段にシンプルかつ柔軟になります。これにより、新たな自動化機器の追加やレイアウト変更にも迅速に対応でき、現場ごとの最適なオペレーションを構築しやすくなります。

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