ギークプラス/アスクル関東DCに最新GTPソリューション「PopPick Ver.1.3」444台を導入

  • 2025年6月6日

株式会社ギークプラスは2025年6月3日、アスクル株式会社が埼玉県上尾市に開所した「ASKUL関東DC(ディストリビューションセンター)」に、最新のGTP(Goods-to-Person)ソリューション「PopPick Ver.1.3」444台を導入したと発表しました。28基の作業ステーションとともに、6月から本格運用が開始されています。

作業員の手元へコンテナを自動搬送するPopPickステーション
出所:株式会社ギークプラス

アスクルでのPopPick導入の背景と成果

品揃え拡大戦略を支える高密度保管

アスクルでは、重要な戦略である「品揃えの拡大」を実現するため、従来の棚搬送型ソリューションよりもさらに保管能力や生産性を向上できるソリューションが必要でした。PopPick(ピッキングロボットP1200R)は防火シャッター直下を通過できる高さ(最大3.8メートル)で稼働が可能で、防火区画をまたいでロボットが行き来することで、広い空間を一体的に運用できるのが特徴です。

関西DCでの実績を踏まえた関東DC展開

アスクルでのPopPick導入は、2024年5月にASKUL Value Center 関西(AVC関西)で318台が全面稼働を開始した実績を踏まえての展開です。関西DCでは広さ約9,000㎡(2,730坪)の倉庫に318台のPopPickと計1,491台の棚、16台の作業ステーションを設置しました。
今回の関東DCでは、さらに規模を拡大し444台のPopPickと28基の作業ステーションを導入。東西の基幹センターでの高速物流体制が整いました。

具体的な導入効果と技術的特徴

高密度保管の実現: 床面から庫内防火シャッター下までの高さ4メートルに対し、最大限の高さである約3.8メートルの棚を導入し、10段のコンテナを積載可能としています。棚の中のコンテナ同士も2センチの間隔で配置され、棚と棚の間にも人の歩行のための通路がないため、高密度に大量の商品を保管できます。一般的な中軽量棚と比べて、棚保管効率は約2倍向上します。

作業生産性の大幅向上: 作業ステーションには2台のスタッカークレーンが稼働し、1時間に650コンテナを取り扱うことが可能です。1ステーションあたりの作業生産性は従来の棚搬送の2倍となります。

自動化レベルの向上: 従来の棚搬送型GTPソリューションでは、作業員が棚の該当箇所(高い所も低い所もある)まで行って商品をピッキングします。対してPopPickでは、ステーションに備え付けられたクレーンが対象のコンテナを作業員の手元まで届けるため、取りに行くという動作が削減されます。

予測機能による効率化: 出荷動向などのデータを基に、今後のオーダーを予想して出荷が見込まれる商品の入ったコンテナを1つの棚に集めておく機能を持たせており、より短時間で作業を終えられるようにしています。

【トラロジ独自考察】PopPickと従来型棚搬送ロボットの使い分け

PopPickは棚搬送ロボットの進化系として位置づけられますが、両者は使い分けの関係にあります。

PopPickが有利な場面:

  • 多品種小ロット・EC対応が中心の現場
  • 高密度保管が求められる都市型倉庫
  • 自動化レベルをさらに高めたい現場
  • 投資予算が十分にある現場

従来型棚搬送ロボットが有利な場面:

  • 大ロット品の取り扱いが多い現場
  • 荷物サイズや形状が多様で柔軟性が必要な現場
  • 導入コストを抑えたい現場
  • コンテナに入らないサイズの荷物を扱う現場
詳しい技術的な比較や進化の背景については、トラロジの解説記事「棚搬送ロボット完全ガイド~これまでの進化と現在地を解説」で詳細に整理しています。

【トラロジ独自視点】物流ロボット選択の現在地

今回のPopPick大規模導入は、物流ロボットの選択肢が多様化し、現場ごとに最適解が異なることを示しています。高密度×自動化というPopPickのアプローチは、特に都市型倉庫や多品種EC物流において、従来の棚搬送ロボットを上回る効果を発揮する可能性を実証しました。
アスクルのような大手EC企業での連続導入成功は、PopPickが「実験段階」から「実用段階」に移行したことを示す重要な指標といえるでしょう。自社に合う自動化の選択肢を検討する際は、取り扱い商品の特性、出荷パターン、投資予算を総合的に評価し、最適なソリューションを選択することが重要です。

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