【2025年最新版】倉庫自動化や物流DXに活用できる補助金ガイド ~物流ロボット・システム導入の投資を後押し~

  • 2025年8月10日

この記事は、倉庫や物流の自動化に取り組む企業向けに補助金取得支援や営業支援サービスを手掛ける「株式会社エングン」と、物流×トランスフォーメーションに特化したメディア「トラロジ」が共同で作成しています。

株式会社エングンのホームページ

倉庫や物流の現場は今、人手不足が深刻で、「2024年問題」と言われる働き改革の影響もあって大変な時期に入っていますよね。設備を自動化したいけど、やっぱり費用面がネックになっている……そう感じている物流事業者はとても多いのではないでしょうか?

実は今、そんな皆さんの悩みを解決する国の補助金制度がとても充実しているんです!
物流ロボット(AGVやAMR、自動倉庫)や物流システム(WMS、TMS、WESなど)といった、倉庫業務や輸配送業務の効率化を手助けしてくれる設備の導入費用を大きくサポートしてくれる制度がたくさん用意されているんですよ。ただ、補助金ってたくさんありすぎて、どれを選べばいいのか、いつ、どうやって申請すればよいのか、色々とわからないことが多い、難しそう、面倒そう!というのが正直なところだと思います。この記事では、そうした補助金をひとつひとつ丁寧に整理・解説して、皆さんが「これならできる!」と具体的な一歩を踏み出せるように、徹底的にサポートしていきますね。

目次

なぜ今、倉庫自動化の補助金が注目されているの?補助金

最近、倉庫の自動化を後押しする補助金がとても注目されていますが、これは決して偶然ではありません。実は、物流業界が抱えるリアルな課題と、その解決を支援しようとする国の動きが補助金背景にあります。

物流2024年問題とは?

2024年4月から、トラックドライバーの残業時間規制が強化されましたよね。これによって物流のキャパシティが低下し、現場は今まで以上に効率的な運営が求められています。トラックの運用はもちろん、トラックと荷物の受け渡しをする倉庫内作業の効率化も、より重要になってきているのです。

深刻化する人手不足

さらに、日本全体が少子高齢化を迎え、特に倉庫作業は重労働なので、人材の確保が非常に難しくなっています。そこで、自動化が進めば、少ない人数でも現場を回せるようになりますよね。

災害に強い倉庫づくり(BCP対策)

最近、自然災害や感染症など、物流を止めてしまうリスクが増えています。少ない人員で稼働できる自動化倉庫は、BCP(事業継続計画)の観点でも効果的な施策です。

倉庫自動化を促進する補助金の充実へ

こうした現場のリアルな問題に対応するため、国は2024年から「中小企業省力化投資補助金」などを整備し、これまでにないほど充実したサポートを開始しました。2025年には「物流施設におけるDX推進実証事業」といった、よりピンポイントな支援制度も実施されています。

つまり、「倉庫の自動化を補助金で進められる」絶好のタイミングが、今まさに来ているということです。

しかし実際には、倉庫自動化に積極的に取り組んでいて、内容的には補助金の対象として十分な条件を満たしているにも関わらず、そもそも申請すらしていない企業が驚くほど多いのが現状です。補助金制度について詳しく知らないまま、本来なら数百万円から数千万円の支援を受けられる機会を逃してしまっている、非常にもったいないケースが頻発しています。

自動化やDXを検討するなら、補助金活用は絶対にセットで検討すべき重要な要素です。「後から知って後悔した」では遅すぎます。

そもそも補助金ってどんなもの?助成金との違いも解説!

補助金制度のお話に入る前に、基本的な言葉の定義を少しだけ整理しておきましょう。

補助金は、国の政策目標を達成するため、企業の新しい取り組みを支援する目的で給付されるお金です。主に税金が財源になっていて、残念ながら申請すれば必ずもらえるわけではありません。事業計画の内容が審査され、優れたものが採択される仕組みなんです。原則として、設備を導入して費用を支払った後に、そのお金を受け取る「後払い」になりますよ。

一方、助成金は、主に厚生労働省が管轄していて、雇用の維持や労働環境の改善などを目的としています。補助金と大きく違うのは、要件さえ満たせば、原則として誰でも受け取れるという点です。倉庫の自動化やシステム導入で皆さんが活用できるのは、主に経済産業省などが管轄する「補助金」になります。倉庫自動化やDXに使える補助金制度の特徴を説明補助金は経済産業省などが管轄するもので、設備投資など産業育成が目的。金額は大きいが審査があり難易度が高い。 一方で助成金は厚生労働省が管轄するもので、人材の採用や育成が目的。要件を満たせば需給できるが、金額は大きくない。

【2025年最新】倉庫自動化・物流DXで活用できる補助金一覧

2025年に皆さんが活用を検討できる、主な補助金制度を一覧表にまとめました。今回は、「導入事例の有無」の欄も加えているので、実際にどんな物流現場の、どんな用途でどの補助金が使われているかの目安にしてくださいね。

物流事業者へのおすすめ度⭐️5max 補助金名 上限額 補助率 対象設備例 導入事例の有無 おすすめする企業 あまりおすすめできない条件
⭐️⭐️⭐️ 省力化投資補助金(カタログ型) ~1,500万円 1/2以下 カタログへ登録済みのAGVや段ボール製箱機など 多数あり 汎用製品をスピーディに導入したい企業 自社仕様にカスタマイズが発生する製品の導入を検討している場合
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ 省力化投資補助金(一般型) ~1億円 1/2~2/3 AMR, 自動倉庫, WMSなど 多数あり 汎用製品にカスタマイズが必要な設備を導入する企業 将来的に中小企業成長加速化補助金の活用を検討している場合
⭐️⭐️⭐️⭐️ 物流施設におけるDX推進実証事業 ~5,500万円 1/2 入庫・庫内・出荷作業などに必要な設備 あり 物流施設のDX化をピンポイントで進めたい企業 納期に半年以上かかる設備投資を検討している場合
⭐️⭐️⭐️ 持続可能な物流を支える物流効率化実証事業 ~3億円 1/2以内 入出荷関連、保管関連、運搬関連、仕分け関連 あり 複数社で連携して物流課題解決に取り組む企業 1社単体で設備投資を検討している場合は、申請不可です
⭐️⭐️⭐️ 中小企業成長加速化補助金 ~5億円 1/2以内 DX推進, 拠点新設や増床 今後期待 売上100億円実現の目標と課題が明確で、その計画の達成に必要な設備投資が1億円以上必要な企業 100億円企業に成長させることが目的ではなく、目先の業務効率化、生産性の向上を目的等する場合
⭐️⭐️⭐️ 中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金 10億円~最大50億円 1/3以内 新規拠点の設立や大規模な設備投資 あり 大規模な設備投資で拠点全体の最適化を図る企業 拠点の新設や増設、増床計画がなく、設備投資のみを検討している場合
⭐️⭐️ ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 ~4,000万円 1/2~2/3 自社開発のWES, 特殊ロボット あり 独自性・新規性の高い設備導入やシステム開発を伴う設備投資が必要な企業 物流会社の単純な設備投資には向かない
⭐️⭐️ 中小企業新事業進出補助金 最大9,000万円 1/2 異業種からの物流事業参入における設備投資 今後期待 物流業界への新規参入や新分野の進出にかかる設備投資が必要な企業 すでに物流業界で事業を行っている企業が物流領域における設備投資をする場合は向かない

※上記の情報は、2025年6月22日までに公募受付中、あるいは公募が終了した過去、最新の公募内容を参考に作成しています。必ず公式サイトで最新情報を確認してくださいね。

各補助金制度の概要とポイントを詳しく解説!

ここでは、それぞれの補助金がどんな内容で、どんなケースで活用しやすいのかを、もう少し詳しく見ていきましょう。

省力化投資補助金(中小企業省力化投資補助事業) カタログ型

省力化投資補助金(中小企業省力化投資補助事業)は2024年に新しくできた補助金で、倉庫自動化で活用するなら、一番現実的で使いやすいと言えるでしょう。人手不足に悩む中小企業が、IoT機器や物流ロボットなどの省力化設備を入れる際の投資をサポートしてくれます。倉庫でよく使われるロボットやシステムが幅広く対象になっていて、実際に補助金を活用して導入された事例もたくさんありますよ。なお、この補助金の大きな目的として、単に自動化や省力化を推進するだけでなく、それによって得られた効果を活かして従業員の賃上げをすることを掲げています。

カタログ型と一般型がある内の、まずはカタログ型を紹介します。事務局にあらかじめ登録されている製品やメーカーの中から選んで導入するタイプです。補助上限は~1,500万円で、補助率は1/2以下。申請プロセスがシンプルで、採択までの期間が短いのが魅力です。AGV・AMR、検品・仕分システム、自動倉庫などがカタログに登録されていて、汎用品をスピーディに導入したい場合にぴったりです。カタログに登録されている製品をいくつか例示します。

無人搬送車(AGV・AMR)

自動搬送ロボットLexx500

LexxPlussの搬送ロボットです。

省力化投資補助金(中小企業省力化投資補助事業)のカタログ型に登録されている製品の例。 LexxPlussの搬送ロボット出展:中小企業省力化投資補助金の公式ページ

TiTra G1000

匠が提供する、パレット搬送できるロボットです

省力化投資補助金(中小企業省力化投資補助事業)のカタログ型に登録されている製品の例。 匠の搬送ロボット出展:中小企業省力化投資補助金の公式ページ

検品・仕分システム

Nano-Sorter

ROMSが提供する高層型のピースソーターです。

ROMS Nano-Sorter
出展:ROMS

自動倉庫

CASPACKパレットタイプ

三菱ロジスネクスト株式会社が提供する自動倉庫です。

省力化投資補助金(中小企業省力化投資補助事業)のカタログ型に登録されている製品の例。 三菱ロジスネクストのCASRACK
出展:中小企業省力化投資補助金の公式ページ

省力化投資補助金(中小企業省力化投資補助事業) 一般型

カタログ型と異なり、設備やシステムをオーダーメイドする、もしくは汎用製品でも自身のニーズに合うようカスタマイズする場合に選べるタイプです。従業員の人数によって補助の上限額は変わりますが、最大1億円までと、かなり大きな金額が補助されます。補助率は1,500万円までと1,500万円を超える部分、そして企業規模に応じて設定されており、積極的な賃上げがより高い補助金額に繋がります。AMRや自動倉庫、WMS(倉庫管理システム)など、幅広い設備が対象になります。自由に設備を選べる分、どんな効果があるのかを具体的に示す事業計画をしっかり作ることが大切ですよ。この補助金が取得事例も多くて一番狙いやすいので、後のパートでいくつか採択事例を紹介しているのでそちらも参考にしてください。

中小企業省力化投資補助金(一般型)の補助対象、補助金額、補助率
出展:中小企業省力化投資補助金(一般型)の公式ページ

令和7年の第一回公募では、全業種での申請数1,809件に対して採択数は1,240件で、採択率68.5%になっています。申請額は1,500万円以上~1,750万円未満が最も多くなっています。採択された件数の内、業種として「運輸業・郵便業」(倉庫も含めいわゆる物流業に当たると考えられます)が占める割合はわずか0.9%でした。10件程度しかないということで、活用の余地が大きそうです。
中小企業基盤整備機構が第一回公募の採択結果をレポートしています。

中小企業成長加速化補助金

売上100億円の実現を明確な目標として掲げ、その内容は「100億宣言」というポータルサイトに公表されます。目標の達成に必要な大規模な設備投資を行う中堅・中小企業を支援する補助金です。DX推進のための投資や、新しい拠点の設立、既存拠点の増床などが主な対象となります。補助上限は~5億円、補助率は1/2以内です。

【注意点】
かなり野心的な成長目標と、それに伴う具体的な投資計画が求められるため、全ての企業が対象となるわけではありません。

物流施設におけるDX推進実証事業

国土交通省が管轄する、物流施設のDX(デジタルトランスフォーメーション)をピンポイントで推進することを目的とした補助金です。入庫・庫内・出荷作業などに必要な設備が幅広く対象となります。補助上限は~5,500万円、補助率は1/2です。WMS(倉庫管理システム)の導入や、IoTセンサー、トラックバース予約受付システムなども対象になりますよ。

大企業が活用できる補助金は数少ない中、この補助金は大企業も活用可能です!

【注意点】
公募が出てから申請締め切りまで3週間足らずと、非常に短い期間での準備が必要です。そのため、事前の計画立てや情報収集が特に重要になります。計画書のブラッシュアップについては事務局の伴走支援もありますが、メールベースでのサポートが中心となる点も覚えておきましょう。2025年度の公募は一回のみで第二回公募がでる見込みは非常に低いので、活用を検討されている企業は来年度に向けて計画を建てましょう。
大企業で来年度設備投資を検討している企業はこの補助金の活用をふまえ、計画を練ることをおすすめします。

持続可能な物流を支える物流効率化実証事業

日本の物流が抱える社会的な課題を解決することを目的とした補助金です。最大の特徴は必ず荷主を含めた「複数社での連携が必須」という点です。同じ商流で異なる立場の事業者である荷主、物流事業者、運送事業者などが協力し合って、輸送や荷役、保管の効率化に取り組む実証事業を応援してくれます。補助上限は~3億円、補助率は1/2以内です。

例えば、ニトリが自律型ロボット設備と専用什器を導入して荷待ち・荷役時間を削減したプロジェクトや、複数の製造業向けEC事業者が物流施設を統合して荷役作業の効率化投資を行い共同配送網を構築した事例医療物流でAGV・コンベヤを導入して既存自動倉庫のボトルネックを解消し配送トラックの待機時間を抑制した取り組みなどが採択されています。

【注意点】
物流領域における複数企業でのコンソーシアム形式での申請となるため、他の補助金よりも事前準備が重要になります。

中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金

中堅・中小企業が、持続的な成長と賃上げを目的として行う、大規模な設備投資を支援してくれる制度です。経済産業省の管轄です。新規拠点の設立や、既存施設のスマート化など、大きな投資計画が対象となります。補助上限は10億円~最大50億円、補助率は1/3以内となります。

【特に重要視されるポイント!】
この補助金では、単なる設備投資にとどまらず、以下のような要素が厳しく評価されます。

  • 企業の持続的成長: 補助事業を通じて、会社自身が今後も成長し続けられるか、その見込みが重要です。
  • 地域への波及効果と賃上げ: 賃上げや雇用の増加、さらには地域経済への良い影響が期待できる取り組みであるかがポイントです。
  • 収益規模に応じたリスク: 会社の収益規模に見合った、思い切った大規模投資であるかどうかも評価対象です。
  • 高い付加価値の創出: 補助金額に対して、生み出される付加価値が相対的に大きい取り組みであることも求められます。

【注意点】
補助される上限額が極めて大きい反面、投資額も数十億円規模が前提になってきます。さらに、地域経済への貢献も示す必要があるので、一般的な中小企業さんの倉庫自動化で活用するには、かなりハードルが高い補助金と言えるでしょう。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

新しい製品やサービスを開発したり、生産のやり方を改善したりする中小企業を応援する補助金です。補助上限は~4,000万円で、補助率は1/2~2/3です。

ただし、この補助金は物流事業者が自社の自動化設備を導入するためのものではなく、主にメーカーやシステムベンダーが新しい製品・サービスを開発する際に活用できるものです。

例えば、倉庫自動化システムを提供するメーカーが、従来の汎用ロボットでは対応できない特殊な作業や環境に対応するカスタマイズされたロボット(特定の商品形状に特化したピッキングロボットや、狭小スペース専用の搬送ロボットなど)を開発したり、WES(倉庫実行システム)に革新的な機能を追加開発したりする場合に申請できます。

ここでいう「新規性」は、自社にとって新しいというレベルではなく、日本の業界や産業全体で見ても革新的な技術や取り組みであることが条件となります。物流事業者の方がこの補助金を検討する場合は、システムベンダーと共同で新しいソリューションの開発に取り組むケースが対象となるでしょう。

【注意点】
どこにでもあるような汎用的な設備を入れるだけだと、採択されにくい傾向があります。何か独自の開発要素や新しい取り組みが必要になるので、一般的な倉庫自動化を考えているなら、「省力化投資補助金」の方がハードルは低いかもしれませんね。

中小企業新事業進出補助金

異業種からの物流事業への新規参入や、既存事業者が新しい分野に進出する際に発生する設備投資を支援する補助金です。補助上限は最大9,000万円、補助率は1/2です。新規事業が対象ですので、従来から物流事業を営んでいる企業が倉庫自動化のための設備投資をしようというケースは対象になりません。

【注意点】
補助される金額が大きい分、事業の新規性や市場性、収益性について綿密な計画が求められます。誰もが簡単に使える補助金ではない、という点は頭に入れておいてくださいね。

自社に合った補助金の選び方、どうすればいい?

「たくさんの補助金があって、どれを選べばいいか分からない……」そんな風に感じている方も多いのではないでしょうか?でも大丈夫です!以下のステップで、皆さんの会社の状況を整理していくと、最適な補助金がきっと見えてきますよ。

Step 1: まずは「省力化投資補助金」を軸に検討してみる!

物流倉庫の自動化や効率化を目指すほとんどの企業にとって、「省力化投資補助金」が一番現実的で、有力な第一候補になるはずです。対象となる設備の範囲が広くて、実際に導入された事例も豊富なので、多くの物流ロボットやシステムが補助の対象になりやすいんですよ。

Step 2: 投資の「目的」で他の補助金も見てみよう!

もし「省力化投資補助金」が会社の計画に合わない場合や、もっと高度な取り組みをしたい、大きな補助金額を獲得したい場合には、他の補助金も検討してみましょう。

補助金活用の基本戦略としては、条件が合致し補助額が大きいものから優先的にチャレンジし、不採択になった場合に次の選択肢を検討するのが効率的です。ただし、補助金の公募時期はそれぞれ異なるため、必ずしも第一希望がダメだった後に第二希望に申請できるとは限りません。

なお、同一の設備投資や取り組みに対して複数の補助金を重複して受給することは原則として認められていません。そのため、一つの補助金が採択された場合は、その範囲外の別の取り組みでない限り、他の補助金への申請はできなくなる点にも注意が必要です。

補助金検討の考え方まとめ

  • 省力化投資補助金の対象範囲では物足りない、より高度な取り組みをしたい?
    → 以下の選択肢から条件に合うものを選んでみましょう!
  • 数千万円~数億円規模の大型投資を計画している?
    → YESなら「
    中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」(最大50億円)も視野に!
  • 会社全体の成長戦略として設備投資を位置づけている?
    → YESなら「
    中小企業成長加速化補助金」(~5億円)をチェック!
  • 物流施設全体のデジタル化を包括的に進めたい?
    → YESなら「物流施設におけるDX推進実証事業」(~5,500万円)がおすすめです!
  • 荷主企業や他の物流事業者と連携してプロジェクトを進められる?
    → YESなら「
    持続可能な物流を支える物流効率化実証事業」(~3億円)がぴったり!

ちょっと現実的なアドバイス

この記事でご紹介している中でも、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」は、単純な省力化における設備投資ではなかなか採択されにくい傾向にあります。また、「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」は、大規模な投資であり申請の条件が厳しかったり、事業計画を作るのが難しかったりして、採択のハードルが非常に高い傾向があります。まずは、皆さんの会社の規模や目標に合った、実現可能性の高い補助金から検討を進めるのが、成功への近道ですよ。

補助金申請の基本的な流れと、見落としがちな注意点!

補助金を申請する時って、どんな流れで進むのか、そしてどんなことに気をつけたらいいのか、事前に知っておくと安心ですよね。一般的な流れと、ぜひ覚えておいてほしい注意点をご紹介します。

  1. 公募要領をしっかり確認!
    まずは、それぞれの補助金の公式サイトで、どんな目的の補助金なのか、誰が対象になるのか、何に使えるのか、そしていつまでに申請するのかなど、細かい情報(公募要領)をしっかり読み込みましょう。
  2. GビズIDの取得は早めに!
    多くの補助金がオンラインでの申請を求めています。その時に必要になるのが、法人・個人事業主向けの共通認証システム「GビズID」のプライムアカウントです。このIDの取得には、もしかしたら2~3週間くらいかかることもあるので、早めに準備を始めるのがおすすめです。
  3. 事業計画書の作成がカギ!
    補助金をもらうための核心とも言えるのが、この「事業計画書」作りです。今の会社の課題は何か、どんな設備を導入するのか、そしてその投資によってどれくらい生産性が上がるのか、コストが削減できるのかなど、数字を交えながら具体的に、分かりやすく説明することがとても大切です。
  4. いざ、電子申請!
    準備ができたら、指定された申請システム(「Jグランツ」というシステムが多いですよ)を使って、事業計画書や必要な書類を提出します。
  5. 審査、そして採択発表!
    事務局によって提出された内容が審査され、めでたく採択されるか、残念ながら不採択になるかが決まります。
  6. いよいよ事業の実施・支払い!
    採択が決まったら、いよいよ設備の契約や発注、そして代金の支払いを行います。注意点としては、原則として補助金の交付決定日よりも前に契約したり支払ったりした費用は対象にならないので、タイミングには気をつけてくださいね。
  7. 実績報告もお忘れなく!
    事業が終わったら、実際にかかった費用の証拠(見積書、契約書、請求書、領収書など)をまとめて、「実績報告書」として提出します。
  8. 補助金が振り込まれる!
    報告書の内容が確認されると、最終的な補助金額が決まって、皆さんの会社の指定口座に補助金が振り込まれます。お疲れ様でした!

【ここだけは気を付けて!重要な注意点】

  • 公募期間は意外と短い!
    多くの補助金は、募集期間が1ヶ月程度しかありません。常に新しい情報をチェックして、迷ったら早めに準備を始めるのが成功の秘訣です。
  • お金は「後払い」が原則!
    設備投資にかかる費用は、まず皆さんの会社で全額立て替える必要があります。補助金は事業完了後の精算払いとなるため、資金繰りの計画も補助金申請と並行してしっかりと準備しておくことが重要です。ただし、採択が決定したタイミングで利用できる「つなぎ融資」という制度もあります。この制度を活用することで、補助金の入金まで資金調達の負担を軽減でき、より安心して補助金を活用した設備投資に取り組むことができます。事前に金融機関や補助金事務局に相談して、資金調達の選択肢を確認しておきましょう。
  • プロに頼るのも賢い選択!
    事業計画書作りや複雑な申請手続きに不安を感じる場合は、行政書士や中小企業診断士、物流領域に特化して補助金申請を支援しており、この記事の監修もしている株式会社エングンのような専門家に相談していただくのも、非常に有効な手段です。限られた申請期間の中で正確な計画書作成や必要書類の収集を進めるには専門的なサポートが不可欠であり、さらに加点項目への適切な対応や業界への専門性が高い専門家に協力してもらうことで、質の高い計画書となり採択率の向上につながります。
  • メーカー・ベンダーの実績と協力体制も重要!
    導入を検討している設備のメーカーやシステムベンダーが補助金採択の実績を豊富に持っているかも、成功の鍵を握ります。また、申請書類の作成や技術仕様書の準備にどの程度協力してくれるかによって、申請プロセスのスムーズさが大きく変わります。設備選定の際は、技術面だけでなく「補助金申請への協力度」も重要な判断基準として考慮することをおすすめします。

補助金を活用した省力化投資(一般型)の事例

「実際に補助金を使って、どんなことができるんだろう?」ここでは、省力化投資補助金(一般型)を活用して効率化に取り組む企業の事例を、具体的な導入計画と期待される効果からご紹介します。

補助金採択のポイントについて 

補助金は優れた計画の方が採択されやすいとされていますが、実際の採択傾向を見ると、現状の課題が明確で切実性が高い企業や、従業員の賃上げ計画がしっかりと組み込まれている企業の採択率が高い傾向にあります。技術的に最先端でなくても、現場の困りごとを具体的に解決し、従業員の働き方改善につながる計画であれば十分に採択の可能性があります。

【注記】ここで記載されている「予想される効果」は、株式会社エングンが公開されている中小企業省力化投資補助金の第1回公募の採択結果一覧の情報をもとに、プロジェクトの目的から考察したものです。実際の効果や導入設備は各企業の事業計画や実施状況によって異なります。

事例1:倉庫管理システム刷新による倉庫管理業務の生産性向上(運輸・倉庫業)

導入予定設備
倉庫管理システム(WMS)の刷新

予想される効果
倉庫内の在庫管理、入出荷作業、ピッキング作業などが効率化され、全体的な倉庫管理業務の生産性が向上する。

事例2:搬入貨物自動仕分け設備導入による作業効率化(運輸・郵便業)

導入予定設備
搬入貨物自動仕分け設備(高精度測定装置、選別機など)

予想される効果
貨物の積み卸し、仕分け、数量確認、パレタイズといった作業が自動化され、人手に頼っていた業務を大幅に削減。多品種少量の貨物にも対応できるようになり、処理能力が向上し、人手不足の解消と売上増が見込まれる。

事例3:送り状自動貼付ライン導入による物流効率革新(卸売・小売業)

導入予定設備
送り状自動貼付ライン

予想される効果
発送業務における送り状の貼付作業が自動化され、出荷プロセスのスピードと正確性が向上。物流業務全体の効率化に貢献する。

事例4:GPS管理システム導入による既存事業の省力化(運輸業)

導入予定設備
GPS管理システム

予想される効果
運送車両の位置情報や運行状況がリアルタイムで管理できるようになり、配車計画の最適化や運行管理業務の省力化が図れる。これにより、既存事業の効率化と、新しい事業への人的リソースの確保が可能になる。

事例5:物流設備導入による物流効率化と人的リソースの最適化(食品製造・卸売業)

導入予定設備
各種物流設備(具体的な内容については、計画書に基づく)

予想される効果
物流プロセス全体の効率が向上し、人員の適切な配置や最適化が実現。人手不足の解消や、より付加価値の高い業務への人員シフトが可能になる。

事例6オムニソーター導入による次世代物流改革(卸売業)

導入予定設備
オムニソーター(立体タイプのピース仕分けロボット)

予想される効果
複雑な商品の仕分け作業が自動化・高速化され、物流センターの処理能力が大幅に向上。省力化だけでなく、地域物流への貢献や次世代の物流体制構築に繋がる。

事例7:DX活用による受発注・物流部門の省力化と営業強化(卸売業)

導入予定設備
DX(デジタルトランスフォーメーション)関連技術(受発注システム、物流管理システムなど)

予想される効果
受発注業務と物流業務の連携が強化・自動化され、大幅な省力化を実現。これにより、営業部門が本来業務に集中できるようになり、営業力の強化にも繋がる。

採択されやすい事例の傾向分析

補助金の採択事例を研究して、次の5つの傾向がよく見られると考察しました。現場の切実な課題を具体的に解決し、その効果が自社を超えて業界や地域にも波及する「社会性のある計画」が採択されやすい傾向にあります。

  1. 現場の具体的課題に対する明確な解決策
    「人手に頼っていた業務を大幅に削減」「多品種少量への対応」など、現状の困りごとが具体的で、解決手段が明確になっている
  2. 業界的な課題解決への貢献
    単なる自社の効率化ではなく、「地域物流への貢献」「次世代物流体制構築」など、業界全体の課題解決を意識した計画が採択されている
  3. システム連携・統合への取り組み
    WMS刷新、DX活用、受発注と物流の連携強化など、単体設備ではなくシステム全体の最適化を図る計画になっている
  4. 複合的な効果を狙った計画
    省力化だけでなく「営業強化」「新事業への人的リソース確保」「売上増」など、多面的な効果を期待できる計画が評価されている
  5. 段階的な効果設計
    「省力化→人員の最適配置→付加価値業務へのシフト」といった段階的な効果獲得が計画されている

まとめ:補助金を活用して、倉庫変革の第一歩を踏み出そう!

人手不足やコストの高騰など、物流業界が抱える課題は、これからますます深刻になっていくと予想されています。こうした厳しい状況を乗り越え、会社がこれからも成長し続けるためには、倉庫の自動化や効率化は、もう避けては通れない大切なテーマなんです。

「自動化って初期費用が高いから、うちには無理かも……」そう言って諦めていた企業さんにとって、国の補助金制度が充実している2025年は、まさに変革を起こすための大きなチャンスが訪れていると言えるでしょう。

特に、多くの企業さんにとって使いやすい「中小企業省力化投資補助金」が登場したことは、本当に大きな追い風です。まずはこの補助金を軸に、皆さんの会社にどんなロボットやシステムが導入できるのか、具体的な検討を始めてみてはいかがでしょうか?未来の物流現場を作るための大切な一歩を、今こそ一緒に踏み出しましょう!

 

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