物流向けロボティクスソリューションを提供するラピュタロボティクス株式会社(東京都江東区、代表取締役CEO:モーハナラージャー・ガジャン)は、総武物流株式会社(千葉県野田市)の中根製品倉庫に無人フォークリフト「ラピュタAFL」8台を納入し、稼働を開始したと発表しました。
ラピュタAFL導入による運用革新

導入システムの詳細
今回の導入では1階に4台、2階に4台の計8台のラピュタAFLが稼働し、タスクの優先度設定やフロア内での効率的な分担により、高密度運用を実現しています。
無人フォークリフトが多様な荷役作業に対応
ラピュタAFLは荷物の単純な搬送にとどまらず、総武物流の中根製品倉庫では複数の異なる作業を柔軟に実行しています。具体的には、パレタイザーから平置き保管庫への格納、保管庫から垂直搬送機への出庫、保管庫から仮置き場への出庫といった基本作業に加え、空パレット置き場からパレットマガジンラックへの搬送、垂直搬送機から空パレット置き場への搬送など、用途を拡張した柔軟な運用を実現しています。
フォークリフトオペレーターが運転する従来の有人フォークリフトが「1パターンの作業を繰り返すのではなく複数の作業を掛け持ちし、適宜判断をしながら作業をしていた」状況を、ラピュタAFLが状況に応じて作業を選択し実行することで自動化しています。
導入効果と現場の評価
作業品質の向上
総武物流取締役業務部長兼企画部の須藤達夫氏は、「ラピュタAFLでは、状況に応じて作業を選択し実行することで、作業全体を完了させることができる点が優れており、倉庫の省人化に大きく貢献してくれた」と評価しています。
導入のしやすさ
同氏はまた、「倉庫建屋に大がかりな造作を伴わない点も導入しやすかったポイント」と述べられており、既存施設への導入ハードルの低さも重要な特徴として挙げています。
荷役品質の安定化
ラピュタAFLによる自動搬送により、作業のばらつきを減少させ、再現性の高いオペレーションを継続できることで、品質向上と従業員の負荷軽減にも寄与しています。
総武物流での成功事例を踏まえ、ラピュタロボティクスと総武物流は今後も協力して、物流におけるさまざまな課題解決に向けた取り組みを継続していく予定です。
有人フォークリフトと無人フォークリフトの効果的な共存運用
トラロジでは、今回の総武物流でのラピュタAFL導入ニュースを受けて、有人フォークリフトと無人フォークリフトの効果的な共存について、過去の導入事例を参照しながらその使い分けのポイントを紹介します。今までの事例には無人フォークの役割を限定して有人フォークと併用する次のような使い方が見られましたが、今回の事例では無人フォークに様々な役割を持たせて有人フォークを代替することが試みられているという点が今回の導入の注目ポイントです。
有人フォークリフトと無人フォークリフトの併用した成功事例
自動フォークリフトの導入は、必ずしも現場の完全無人化を意味するものではありません。実際の成功事例では、有人フォークリフトと自動フォークリフトが適切な役割分担により、全体の効率化を実現しています。
TOTO株式会社小倉物流センターでは、2台のラピュタAFLと有人フォークリフトの明確な役割分担により効率化を実現:
- ラピュタAFL:垂直搬送機から出荷仮置き場までの100m長距離搬送を自動化
- 有人フォークリフト:仮置き場からトラックバースでの積み込み作業を担当
大東製糖株式会社では、時間帯によって有人フォークリフトと無人フォークリフトの使い分けを実施:
- 昼間(8時〜17時):有人フォークリフトで運用
- 夜間(17時〜翌8時):RinovaAGF(トヨタL&Fの無人フォークリフト)による完全無人化運用
この運用により、夜間作業を完全無人化することで人手不足問題を解決しています。
最適な役割分担
過去の導入事例を分析すると、以下のような使い分けが効果的であることがわかります:
自動フォークリフト:
- 長距離搬送作業
- 単純な反復作業
- 夜間稼働による24時間運用
- 継続的作業が求められる工程
有人フォークリフト:
- 複雑な判断が必要な作業
- トップスピードが必要な作業
- 柔軟性が求められる作業
- 異常対処や緊急時の対応
今回のラピュタAFLの導入事例では、これまで有人フォークリフトが最適とされてきた複雑な判断が必要な作業や柔軟性が求められる作業についても、自動フォークリフトが対応できるようになってきたことがわかる事例です。状況に応じて作業を選択し実行する能力により、「作業負荷の軽減」から「作業全体の完了」へと自動化の範囲が拡大しています。
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