プーマジャパンとセンコーが共同で進めた新基幹物流センター構築プロジェクトにおいて、ギークプラスのオープンSCMソリューション「skylaa」と自動棚搬送ロボット「EVE」42台が導入され、在庫消化率の向上と作業生産性の大幅な改善を実現しました。

課題:分散していた在庫とシステムが生む非効率
プーマジャパンは世界的なスポーツブランドとして、サッカー・ランニング・ゴルフ・バスケットボールなど幅広い競技向けアイテムを多SKUにわたって展開しています。しかし従来は以下の課題を抱えていました。
- BtoBとBtoCの物流が別々のシステムとオペレーションで運用されており、在庫の一元管理ができていない
- BtoC専用倉庫の保管スペースに制約があり、すべての商品を販売できない
- BtoB用倉庫からBtoC専用倉庫に商品を移動してから出荷するため、商品入荷から販売開始までのリードタイムが発生
- 近年のEコマース需要拡大により、オーダーから出荷までのさらなるリードタイム短縮が求められている
解決策:既存システム変更不要の統合ソリューションと倉庫自動化

プーマとセンコーは、在庫の一元管理と自動化を前提とした新基幹物流センターの構築を計画し、自動化ロボットの豊富な導入実績やオペレーション設計に関する知見が評価されたギークプラスをパートナーに選定しました。物理的な拠点としても、BtoB、BtoCの倉庫がひとつに統合されています。
導入されたソリューション
オープンSCMソリューション「skylaa」
- ERP(基幹システム)・OMS(受注管理システム)・WMS(倉庫管理システム)といった既存システムを変更せずにBtoB・BtoC在庫の一元管理を実現
- リアルタイムでの在庫引き当てやデータ統合が可能
- AIが需要予測から配送計画、物流実行までを一気通貫で最適化
自動棚搬送ロボット「EVE」42台
- 商品棚を作業員のもとまで自動搬送し、歩行時間を削減してピッキング効率を大幅向上
- 通路幅の最小化と自動レイアウト最適化により、保管効率も大幅に向上
ギークプラスをパートナーとして選定した理由:実運用値に基づく信頼性の高い提案
センコーの田原裕也主任は選定理由について、「一般的には機械能力値、いわゆる理論値で提示されることが多い中、ギークプラス社は実際の運用値をもとにご提案いただきました。これにより、試算精度が向上し、過剰投資や処理能力不足といったリスクを抑えることができました」とコメントしています。
また、「EVE」を物流現場で活用した経験を持つメンバーが多く、共通理解が早く進み、課題解決までのスピード感も評価されました。
ソリューションの導入効果:予想を上回る効果を実現
在庫管理精度の劇的な改善と販売リードタイムの短縮
- ひとつの拠点内でBtoB・BtoCの在庫を異なるロケーションで管理しながらも、在庫データを統合して運用
- 夕方から夜間にかけてのEコマースピークタイムには自動引き当てによってBtoCの販売対象商品を拡充
- Eコマースの取扱商品数が大幅に拡大し、プーマの経営課題でもある在庫消化率が向上
- 販売リードタイムも短縮でき、Eコマースの売上に対してポジティブな効果が発生
倉庫作業の生産性が大幅に向上
- 倉庫作業の生産性が改善し、売上拡大によって作業量が増加したにも関わらず、従来よりも少ない人数での対応が可能となった
- 「設計時の想定を上回る成果も出始めている。特に工数の大きいピッキング作業における自動化効果は大きく、現場からも『歩かずにピックできることが衝撃的』といった声が上がる」(センコー田原主任)
データドリブンな物流基盤の構築
プーマの田伏菜穂子Eコマース本部長は「ビジネスの成長に直結する効率的な体制が実現できました」とコメントし、データドリブンな物流オペレーション基盤の整備により、プーマの成長戦略を物流面から力強く支える体制が構築されました。
今後の展開:さらなる自動化と最適化へ
現在は主にBtoC出荷における在庫の自動引き当てに「skylaa」を活用していますが、今後は以下の拡張を予定しているそうです。
- BtoB向けの在庫補充出荷への対応拡大により、より高頻度かつ効率的な補充作業を実現
- 自動棚搬送ロボットの対応領域拡大によるさらなる省人化
- 「skylaa」の機能カスタマイズを行いながら、配送リードタイムなどを考慮した物流拠点の再配置も検討
関連リンク
製品情報(公式サイト)
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