川崎重工など3社/航空貨物の自動デパレタイズシステムを開発 — 成田空港で実証試験に成功

  • 2025年5月21日

川崎重工業株式会社、川重岐阜エンジニアリング株式会社、リモートロボティクス株式会社の3社は、航空貨物用パレットから荷物を自動で荷下ろしする「自動デパレタイズシステム」を共同開発し、成田空港での実証試験に成功したと発表しました。

航空貨物用パレットでの実証試験の様子

出所:リモートロボティクス

背景:航空物流の人手不足と自動化ニーズ

近年、EC市場の拡大や労働人口の減少により、航空物流業界では人手不足が深刻化しています。特に航空貨物用パレットは国内陸路輸送用よりもサイズが大きく、従来の6軸ロボットではアームの可動域が足りず、荷下ろし作業の自動化が困難でした。こうした課題を解決するため、より高性能なロボットシステムの導入が期待されてきました。

技術の特徴:8軸ロボットと遠隔操作

今回開発された自動デパレタイズシステムは、川崎重工が航空機製造で培った自動化・ロボット技術と、川重岐阜エンジニアリングのエンジニアリングノウハウを融合。長いアームを持つ8軸ロボットを採用し、パレット上の荷物の位置を3DビジョンAIカメラで把握し、自動で荷下ろし作業を行います。

また、荷物位置の自動判定が困難な場合には、リモートロボティクスの遠隔操作サービス「Remolink」を活用。遠隔地から作業員が画像の撮影指示や把持位置の指定を行うことも可能で、現場の柔軟な運用を実現しています。

実証試験と今後の展望

2025年2月には、日本航空株式会社およびJALカーゴサービスの協力のもと、成田空港内で実証試験を実施。8軸ロボットと独自の制御ロジック、遠隔操作技術を組み合わせることで、航空貨物の自動荷下ろし作業が可能であることを確認しました。

今後は、現場ニーズに合わせたシステムの開発を進め、航空物流のさらなる自動化と効率化を目指す方針です。

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プレスリリース

航空貨物用パレットでの実証試験の様子
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