2025年10月28~31日に上海で開催されたCeMAT ASIA(構内物流やサプライチェーンの最新ソリューションが出揃う大規模な見本市)に、特に自動化ソリューションの最新動向を研究する目的で訪問してきました。前回、そのレポート第一弾としてヒューマノイドロボットに特化した内容を紹介しました。今回はCeMAT全般についてまとめることで、中国における自動化の最新トレンドとして発信したいと思います。
中国における自動化ソリューションのトレンド概観
最初にサマリーをお伝えして全体像を概観しようと思います。以降のパートで1つずつ具体的に紹介します。
- ヒューマノイドロボットはまだ主役ではなかった。
- 自動倉庫タイプの物流ロボットが”超”充実している。各メーカーが取り扱い機種のバラエティを広げていることも目立った。
- パレットシャトルのソリューションもかなり増えている。しかし日本で普及するかと言うと・・・?
- 無人フォークリフトの展示も目立った。省スペースタイプが活躍しそう。
- 仕分けロボットも、立体型を中心に増えている。そしてあのヒット商品🤓の黒いヤツが登場か😈
①ヒューマノイドロボットはまだ主役ではなかった
現地に行くまでは、今年のCeMATではヒューマノイドが沢山展示されて、(Youtubeの動画でよく見るように)もう人間並みじゃないの!?という動作をする様子をこの目で見れちゃうんじゃないかと期待が高まっていました。日本から行った知人たちの多くが同じような期待を口にしていましたし、たぶん現地の人も同じだったんじゃないかと思います。
が、残念ながら今回は、ヒューマノイドの展示はけっこう沢山あったものの(10社以上はありました)、実用性が十分あるなと感じさせるものは展示されていませんでした。例えばこんな感じです。
その様子は前回の第一弾記事で詳しく紹介しています(だからと言ってヒューマノイドの実用化がまだ遠いわけじゃあないのでは、という論調になっています😲同時に日本で発表された興味深い取り組みも紹介しています)。
2025年10月28~31日に上海で開催されたCeMAT ASIAに行ってきました。構内物流やサプライチェーンの最新ソリューションが出揃う大規模な見本市です。日本で開催される国際物流展の、中国・アジア版みたいなものですね。10万人以上もの来[…]
②自動倉庫タイプの物流ロボット(高層・高密度GTP)ラインナップが”超”充実
数年前から続くトレンド
今回のCeMATでもっとも目立っていたのは自動倉庫タイプの物流ロボットでした。コンテナやケースを高層のラックに高密度で保管して、作業者まで届けるというGTPソリューションです。コンテナに収まるサイズの、比較的小さなアイテムに向きます。トラロジでは「高層・高密度GTP」と呼ぶこともあります。
展示会の花形=実際に今もっともトレンドになっているもの、という感じで、その点では日本の国際物流展と同様かと思います。この4、5年くらい続いているトレンドですね。日本との大きな違いは、メーカーの数がとても多いことでした。日本だと自動倉庫タイプの物流ロボットを提供しているのは10社くらいだと思いますが、中国では今回展示しているだけでも20社はあったと思います。全企業が出展してるわけではないでしょうから、もっとあるんだと思います😲
自動倉庫タイプの物流ロボットの展示が並ぶ様子

各メーカーがロボットのラインナップを拡充
自動倉庫タイプの物流ロボットには、例えば以下のようなタイプがあります。
①ACR:HaiPickやQuickBin
②クレーン+フロアロボット:AirRobやNano-stream
③1ロボット(垂直&水平移動):SkypodやHaiPick Climb
④大型の棚搬送:PopPick
⑤ジャングルジム:Autostore、Rapyuta AS/RS
以前は、各メーカーがそれぞれ得意とするタイプを提供している、という印象でした。ですが今は、1つのメーカーが複数のタイプのロボットをラインナップするようになっています。以前からあるメーカーほどそうで、例えばギークプラスはもともと特に④のPopPickが目立っていましたが、①や②のタイプも揃えており、さらにパレットシャトルにピッキング用のアームロボットまで提供するなど、幅広い自動化ソリューションを提供するようになっています。
ギークプラスの展示。右にACRタイプ(①)、左にクレーン+フロアロボットタイプ(②)。

ピッキングロボット。自動倉庫ロボットのコンテナからピースピッキングする。

Hai Roboticsも、最初は①ACRタイプからスタートしていますが、③1ロボットタイプであるClimbタイプを拡充しています。これ、ロボットがカタカタとラックを昇り降りする様子がなんか気持ちよくてずーっと見てられるヤツでした😶
メーカー間の競争激化(過剰?)
少なくともソリューションのラインナップとしてはメーカー間の差が小さくなっているようです(もちろん品質、コスト、サポート体制など様々な面で違いは出てくるはずですが)。新興のメーカーも増えており、これはかなり競争が熾烈だろうな・・・😰と感じました。類似のソリューションをとても沢山のメーカーで作って競うよりは、メーカーの数はある程度に絞ってよい人材を集め、品質アップやサービスの充実を目指した方がよくないかなーなんて思っちゃいます(言うだけなら簡単というヤツですが😓)。これはこの後で触れるパレットシャトルや無人フォークにも通じる点ですね。
③パレットシャトルも多数、日本で普及するかと言うと・・・?
多数の展示があったパレットシャトル
パレットシャトルの展示もかなり沢山ありました。20くらいはあったように思います。パレットシャトル専門に見えるメーカーもいくつかありました。
有力メーカーとされるGLOBLのパレットシャトル。日本ではHOUSEIやTakuTechが取り扱っています。
ギークプラスのパレットシャトルも動きが速かったです。しかもちょっとかっこいい動画になった気がします😎
パレットシャトルは日本で普及するか?物流倉庫の天井高がキー
日本でのパレットシャトル導入事例はまだそれほど多くありません。物流倉庫の天井高が影響していると考えられます。近年、物流施設デベロッパーが建てる物流施設の標準仕様が天井高5.5メートルとなっており、これは、高さ1.8メートル程度の逆ネステナーを2段重ねて、その上に高さ1.5メートル程度の荷物を置く(荷物は合計3段で保管する)場合にちょうどよい高さ(5.1メートル程度)、というようになっています。次の画像のようなイメージです。

出展:大和物流
パレットシャトルの場合、シャトルの走行面を一番下の段(床面の部分)にも設けなければならず、そして2段目と3段目にもやや厚みが出るはずなので、荷物の高さが同じ1.5メートル程度だとすると、逆ネステナーよりも天井高が必要となり、5.5メートルでは収まりません。これが日本でまだパレットラックがそれほど多く活用されていない主要因かと思われます。もっと天井高が高いか、もしくは荷物の高さが低ければ活用しやすくなります。自動化の普及を考えると、物流施設の標準仕様も見直しされていくように思いますね。
④無人フォークリフトの展示も目立った。省スペースタイプが活躍しそう。
無人フォークリフトの展示も10社以上あって、目立っていました。
このGALAXISのように、従来型のフォークリフト(人が乗るタイプ)の形状をしていないものが多かったように思います。省スペースで、通路幅が狭くても通れるのがメリットですね。手前で大型タイプ、奥で小型タイプがオペレーションしています。
これ(Smart Loopというメーカー)も省スペース。
⑤仕分けロボットも、立体型を中心に増えている。そしてあのヒット商品🤓の黒いヤツが登場か😈
立体型ソーターが沢山
日本に入ってきている立体型ソーターはオムニソーターやミニソーターなど数種類ですが、CeMATにはもっと沢山の展示がありました。
例えばこのGURKIというメーカーの立体型ソーター

平面型ソーターについにも新ソリューション登場🤓😈
平面型ソーターといえばLibiaoのt-Sort(日本ではプラスオートメーションが提供する)がヒット商品で、これに競合するソリューションがなかなか出てこないもんだなーと思っていたんですが、今回ついにありました!HYPERLEAPというメーカーが出していました。
これがt-Sort

出展:Libiao
HYPERLEAPの平面型ソーター。ホントにそっくり・・・
別の角度から
以上、CeMAT訪問のレポート第二弾でした!




























